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はるのごほうび|読んだ本の紹介・レビュー【173冊目】【絵本】

4.0

はるのごほうび|作品紹介

  • 作:内田麟太郎(うちだりんたろう)
  • 絵:村上康成(むらかみやすなり)
  • 出版社:鈴木出版
  • 対象年齢:全年齢
  • 発売日:2018/2
  • ページ数:24P
  • 幼児向け読み聞かせ絵本
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はるのごほうび|実際に読んだ感想とレビュー

子どもが笑う楽しい絵本

「はるのごほうび」というタイトルからすると、春らしいほのぼのとした絵本なのかな?と思って読み始めたのですが、これはなかなか面白い発想の絵本でした。

何よりも達也くんの下の子がかなり気に入ったようで、何度も「読んで!」と持ってくるほどのリピート作品になりました。読み聞かせる側としては、同じ絵本を何度も読むことになるので、最初は「またこれか!」となるわけですが、子どもがそこまで気に入る理由を見ていると、なるほどなと思います( *´艸`)

物語の始まりには、空にこいのぼりが浮かんでいます。

ここまでは普通です。

こいのぼりなら空を泳いでいても何もおかしくありません。春から初夏にかけての風景としてもおなじみですし、「うんうん、こいのぼりね」と読み進めていきます。

ところが、そこからちょっと様子がおかしくなってきます。

なんと、ブタが空に浮かんでいる。

さらにネコまで浮かんでいる。

そしてカエルまで浮かんでいる……。

「なんでやねん!」

と思わずツッコミたくなるような展開です(笑)

もちろん、ブタもネコもカエルも普通なら空に浮かぶものではありません。ところが、この絵本の中では当たり前のように次々といろいろなものが空へ浮かんでいきます。

この「ありそうで絶対にない」という状況が、子どもにはたまらないようです。

下の子もページをめくるたびに「次は何が浮かぶんだろう?」という感じで楽しんでいて、予想外のものが登場すると大笑い。

「いやいや、これは無いでしょ(笑)」

というものが普通に浮かんでいるからこそ面白いんでしょうね。大人になると、どうしても「そんなわけない」と現実的に考えてしまいます。ブタが空を飛ぶわけがない。ネコもカエルも空に浮かんでいるのもおかしい。

そんなことを考え始めると、この絵本の面白さから少し離れてしまいます。子どもにとっては「どうして浮いているの?」ではなく、「浮いてる!面白い!」なんですよね。

こういうところが絵本の面白さなのかもしれません。

現実ではありえないことを、何の説明もなく普通に見せてしまう。そして、それを見た子どもが「そんなの無いわ~( *´艸`)」と笑う。

理屈よりも先に笑える。

こういうシンプルな楽しさって、大事なんじゃないかなと思います。しかも、子どもが何度も読みたがる。大人からすると、一度読んで内容を知ってしまえば「もう結末もわかってるし、次に何が出てくるかも知ってる」と思ってしまいます。

子どもは同じ展開でも、その瞬間にまた笑えるし、「ここでブタが出てくるぞ」と分かっていても、それが出てくること自体が楽しい。

テレビのお笑いやお気に入りのギャグを何度も繰り返して見るのと似ていますね。

大人になると「一回見たからもういいや」となりがちですが、子どもは同じものを何度も楽しめる。この違いはなかなか面白いものです。

そして、この絵本は文章を細かく理解しなければ楽しめないタイプではなく、絵を見て「何か変なものがいるぞ」と気付くだけでも十分楽しめる作品。

まだ文字を読むことができない小さな子でも、絵を見ながら「これは何?」と親子で会話しやすいと思います。

読み聞かせをしていると、こちらが文章を読んでいる途中で子どもが先に絵を見て笑い始めることもあります。

絵を担当している村上康成さんの作品ということもあり、動物たちの表情や全体の雰囲気も楽しみながら読めます。

春という季節を題材にしながら、難しい話ではなく、子どもが素直に「おもしろい!」と感じられるところが魅力。

教育的なことを考えて絵本を選ぶのももちろん大切ですが、こういう「理由はよく分からないけど、とにかく笑える」という作品も子どもには必要なんでしょうね。

今回の「はるのごほうび」は、まさにそんな一冊でした。

小さな子どもの読み聞かせにもおすすめできる、親子で一緒に楽しめる一冊です( *´艸`)

達也
達也

ページ数が少ないですけど、子どもに読み聞かせする入門書としておすすめ

たーちゃん
たーちゃん

すっきりとしたおもしろさがあっていいっ

達也の深読み!

『はるのごほうび』ナンセンスが生み出す「肯定」と「解放感」 こいのぼりだけでなく、ブタやネコ、カエルまでが空に浮かぶという展開は、一見すると単なるナンセンス(ナンセンス絵本)に見えます。しかし、子どもたちがこれほど大笑いし、魅了される背景には「日常のルールからの解放」があります。

普段、子どもたちは「~しちゃダメ」「そんなことあるわけないでしょ」といった現実のルールや常識を大人から学びながら生きています。そんな中で、「ブタやネコが空に浮かんだっていいじゃないか」という理屈を超えた世界を提示されると、心がフッと軽くなり、自由な想像力を全肯定された気持ちになるのです。ダメダメはダメダメですね。ダメって言いたがる親がいる。

絵詞作家(えことばさっか)の内田麟太郎さんは『絵本にっぽん大賞』『小学館児童出版文化賞』『日本絵本賞』など、数々の賞を受賞されている作家さんです。

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