クララ 300年前にはじめてヨーロッパを旅したサイのはなし|作品紹介
- 作:エミリー・アーノルド・マッカリー
- 訳:よしいかずみ
- 出版社:BL出版
- 対象年齢:3歳以上向け
- 発売日:2017/1
- ページ数:41P
- 幼児向け読み聞かせ絵本
- この本をAmazonで探す
【PR】【広告】アフィリエイト広告を利用しております。アイキャッチ画像は楽天市場を利用しております。
クララ 300年前にはじめてヨーロッパを旅したサイのはなし|実際に読んだ感想とレビュー
ほー、こんな話があったんだ。と思わせてくれる絵本です( *´艸`)
「クララ 300年前にはじめてヨーロッパを旅したサイのはなし」は、今から約300年前、実際にヨーロッパを旅したサイのクララを題材にした作品。
サイですよ、サイ。
今でこそ動物園などで見る機会がありますけど、300年前のヨーロッパの人たちにとっては、そもそも実物のサイを見ること自体がものすごく珍しいことだったわけです。
そんな時代に、オランダの船長が幼いサイのクララを連れて、船や陸路を使いながらヨーロッパ各地を旅します。クララが訪れる先々では、「なんだあの動物は!?」という感じで人々が大騒ぎ。
初めて見る巨大なサイに驚いたり、興味を持ったり、実物を見ようと人々が集まったりして、いつしかクララはヨーロッパ中で大人気になっていきます。
しかもクララの人気はただ「珍しい動物がいる」というだけではありません。
クララの姿が衣服のデザインに取り入れられるなど、いわゆる「サイブーム」まで巻き起こってしまう。
300年前にサイの一大ブームがあったというだけでも驚きです。
当時の人たちからすれば、図鑑や写真で見ることもできない未知の動物。
本物を見られるとなれば、それはもう大変な騒ぎになったんでしょう。現代ならスマホを取り出して写真や動画を撮るところですが、そんな便利なものはもちろんありません。
「本物のサイが来たぞ!」
という情報だけを頼りに、人々が直接見に集まってくる。そう考えると、クララが各地でどれほど注目されていたのか想像できます。やがて船長は王様にクララを見せる機会まで得ます。
王様もクララを大変気に入り、船長に「譲ってくれないか」と尋ねます。ここで船長は悩む。
クララを旅させ続けるには食費もかかるし、旅そのものにもお金が必要。
クララを手放したほうがいいのではないか……。そこで船長が伝えた金額が金貨10万枚。ところが王様は、クララを献上してくれるものだと勘違いしていたため、「金を要求するのか!」と激怒。
船長は追い返されてしまいます。でも、そんな出来事があったとしてもクララの人気は衰えません。
各地で人々を驚かせ、楽しませ、長い年月にわたって親しまれていきます。そしてクララと船長が出会ってから17年。いよいよクララとの別れの時が訪れます。
旅の途中で出会った珍しい動物と人間というだけではなく、長い年月を一緒に過ごしてきた存在。
船長にとってクララは、いつしか大切な家族であり、かけがえのない友達になっていたんでしょう。最後に描かれる二人の関係には、単なる「珍しい動物を連れて旅をした」という話ではない温かさがあります。
クララが最後まで船長のそばにいて、船長もクララに寄り添う。
「お前は本当に心からの友達だったよ」
そんな気持ちが伝わってくる物語です。人間でもそうですけど、長い人生の中で最期を迎えるその瞬間に、大切な人や心のよりどころとなる存在がそばにいるというのは、すごく大きなことなんでしょうな。
動物と人間の関係って、単純に「飼う側」と「飼われる側」だけではない。一緒に過ごした時間が長くなればなるほど、そこには家族のような関係が生まれていく。
クララと船長の関係も、そういうものだったのかもしれません。
そしてこの絵本を読んでいて、達也くんがもう一つ面白いと思ったのが、「昔の世界って、今とはまったく違うんだな」というところ。
現在ならサイの姿をインターネットですぐに検索できます。動画も見られるし、生態についても簡単に調べられる。動物園へ行けば実物を見ることもできます。ところが300年前には、そんな便利なものは何もない。
だからこそ、実物のサイが目の前に現れたときの衝撃は、現代人が想像する以上に大きかったんでしょう。そう考えると、クララがヨーロッパ各地で人気者になったことにも納得できます。
珍しいものを見て、知らなかったものを知り、それをきっかけに人々の生活や文化にまで影響を与えていく。たった一頭のサイが、そんな歴史を作ってしまったわけです。
こういう絵本を読んでいると、「知らない」ということは決して悪いことではないんだなと思います。
知らないからこそ興味を持てる。興味を持つから調べる。調べることで世界が広がっていく。
現代は何でもすぐに検索できるから便利なんですけど、その反面、検索して答えを確認しただけで「知ったつもり」になってしまうこともあります。
クララの物語を見ていると、実際に見て、感じて、体験することの大切さを改めて感じます。
それでも、こういう一冊から「300年前にこんなサイがいたんだ」と知るだけでも面白い。動物が好きな子はもちろん、歴史や外国の文化に興味を持つきっかけにもなりそうです。
そして何より、クララと船長の関係がいい。珍しい動物を見世物として連れて歩いたというだけではなく、17年という長い時間をともに過ごし、最後には心からの友達になっていた。
そう考えると、温かい物語です。小さなことだけを見ていると、目の前のことしか見えなくなる。でも、少し視野を広げてみれば、300年前のヨーロッパを一頭のサイが旅して、人々を驚かせ、文化にまで影響を与えたという、とんでもなく壮大な話がある。
人生も同じで、目の前の小さなことばかり気にしているより、たまには遠くを見ることも大事なのかもしれません。「昔の世界ってどんな感じだったんだろう?」と興味を持つ子にも読んでほしい作品です。

17年は長いです。読み終えた時に良かったと思う作品でした!

どうぶつえんにいきたくなります!
達也の深読み!
「クララ 300年前にはじめてヨーロッパを旅したサイのはなし」は、18世紀のヨーロッパに実在したサイ「クララ」とヴァン・デル・メール船長の実話をもとに描かれた歴史絵本です。単なる珍しい動物の珍道中にとどまらず、情報過多な現代において薄れがちな「本物と出会う驚き」と「時間を重ねて育まれる愛着」の深さを教えてくれます。
現代のようにスマホやインターネットで一瞬で画像や動画を検索できる時代とは異なり、300年前の人々にとってクララは「存在すら信じがたい完全な未知」情報がないからこそ人々は直接見て、肌で感じるために集まり、その熱量がファッションや文化にまで波及する大ブームへと広がっていったのだと推測されます。17年もの歳月を一緒に過ごしたかけがえのない大切な存在のお話。





