きりかぶのあかちゃん|作品紹介
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きりかぶのあかちゃん|実際に読んだ感想とレビュー
自然と命の物語
これは読んでいて「ほー、なるほどなー」と思う作品です。
タイトルからすると、かわいらしい赤ちゃんのお話なのかなと思うんですが、主人公になるのは「きりかぶ」。
どうぶつ村の入り口にある一本の切り株を中心に物語が進んでいきます。
もともと、この切り株はとても大きな木でした。天まで届くほどの大きな木。
ところが、動物たちがその木を切り倒して、焚き木にしてしまった。
その結果、残ったのが一本の切り株。
ところが木がなくなってから、動物たちはだんだん後悔するようになります。
夏になれば木陰が欲しい。木の実がなれば嬉しい。
春になれば花や葉っぱを楽しみたい。四季が巡るたびに、「早く大きくなってくれないかな」と切り株にお願いする。
でも、切り株は「いやだよ」と答える。
自分たちで切り倒しておいて、「早く元に戻ってくれ」って言われても、切り株からすれば「いやいや、知らんがな」と思うのが当たり前で自業自得の問題。
このやり取りが、なんとも面白い。
動物たちは木のありがたさを失って初めて気付いたわけです。大きな木があったときには、それが当たり前。木陰があることも、木の実ができることも、季節ごとの変化を楽しめることも、特別なことだとは思っていなかった。
ところが、木を切ってしまってから、その存在の大きさに気付く。
「なくなって初めてありがたさが分かる」という、なんとも人間くさい話でもあります。
そして物語が進み、やがて寒い冬がやってきます。
葉っぱも枝もない切り株は、当然ながら丸裸。それを見た動物たちは、「寒そうだ」と思います。
そこで藁などをかぶせて、切り株が寒さにやられないようにしてあげる。ここが、この物語のちょっと良いところ。
木を切ったのは動物たち。
切り株がこうなってしまった原因も動物たち。
それでも今度は、切り株を守ろうとする。
最初は「木が欲しい」「木陰が欲しい」「木の実が欲しい」と、自分たちが欲しいものばかりお願いしていた動物たちが、最後には切り株のために行動するんですよね。
そして、しばらくすると切り株から新芽が出てきます。
小さな芽が出て、少しずつ成長していく。
ここまで読むと、「なるほどなぁ」と思うわけです。
切り株は最初、動物たちからのお願いに対して「いやだよ」と拒否していました。
でも、動物たちが寒さから守ってくれた。
それをきっかけに、新しい命が芽吹いていく。
なんというか……切り株、ツンデレじゃないですか?(笑)
「木陰が欲しい? いやだよ」
「木の実が欲しい? いやだよ」
「早く大きくなって? いやだよ」
と言っていたくせに、最後にはちゃんと新芽を出してくれる。
「べ、別に嬉しかったから芽を出したわけじゃないんだからね!」と、ツインテの娘が言っているようにしか見えなくなってきました( *´艸`)
しかしこの話はそんな単純な話ではありません(笑)。
この絵本で描かれているのは、自然と動物たちとの関係や、失ってから気付く大切さ、そして再び育っていく命なんでしょう。
木は人間や動物にとって、木陰を作ってくれたり、実をつけたり、住みかになったり、いろいろな恩恵を与えてくれます。
でも、そこにあることが当たり前になってしまうと、そのありがたさにはなかなか気付けない。
切り倒してしまってから「やっぱり必要だった」と気付く。
現実でも、似たようなことってあります。なくなってから初めて「あれって結構大事だったんだな」と思うもの。
身近にありすぎるものほど、その価値が分からなくなる。そう考えると、子供向けの絵本ではありますが、大人が読んでもちょっと考えさせられる内容です。
しかも、説教臭くないのがいい。
「自然を大切にしましょう!」
「木を切ってはいけません!」
と直接的に教えるのではなく、一つの切り株と動物たちのやり取りを通して、自然との関係を考えさせてくれる。
こういう表現のほうが、子供の記憶にも残りやすいんじゃないでしょうか。
そして最後に新芽が出てくるというのもいいですね。
一度失われたものが、完全に元通りになるわけではない。でも、そこから新しい命が始まる。
小さな新芽を見て、「これからどうなるんだろう?」と想像できる余地もあります。
大きな木になるのか。また動物たちが木陰で休めるようになるのか。今度はちゃんと大切にしてもらえるのか。
そんなことを考えながら読み終えることができます。
「木が欲しい!」
「木陰が欲しい!」
と言うくらいなら、最初から残しておけよと思ってしまう。でも、そういう失敗を経験したからこそ、木の大切さに気付けたとも考えられる。
失敗して、後悔して、今度は大切にする。そういう経験も成長には必要なのかもしれません。
「きりかぶのあかちゃん」は、小さな切り株を通して自然や命について考えることができる絵本。
子供向けではありますが、大人が読むと「自分たちも似たようなことをしてないか?」と少し考えさせられる作品です。この物語を達也くんは「人間」で考えたら全て当てはまるしっくりくる話なんだと思いました。
身勝手な人間の身勝手な行いの後に、手の平返しみたいな感じですね。深いわ。

環境問題を考えさせられる深い内容の絵本だと達也くんは思います。幼少期よりこういった話を読み聞かせしていると疑問を疑問として捉えて答えを探す人間に成長してくれるんじゃないか?と勝手に思ったりします。

どうぶつさんかってなんだから~
達也の深読み!
「きりかぶのあかちゃん」拒絶(いやだよ)の意味と境界線 切り株が「いやだよ」と拒否し続けるのは、都合よく振り回されたことに対する当然の自己防衛であり怒り。他者の要求にただ応じるだけの存在(搾取される側)から、一線を引いて自分のペースを守る存在へと変化した瞬間でもあります。
小さな優しさと「関係の再構築」 動物たちが最後に「寒そうだから」と藁をかけてあげた行動は、利益目的の「早く大きくなれ」という要求から、「目の前の相手(切り株)のケア」へと視点が変化したことを表しています。利害関係を超えた配慮(ケア)があって初めて、途切れていた信頼や新しい命(新芽)が芽吹く余地が生まれる、という人間関係の再構築のプロセスとして読み解くことができます。失敗は誰にでもあることと、許す木の心の広さも構見えます。
凄いね!忘れがちになると思いますけど、寛容になりましょう。





