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草木とみた夢 牧野富太郎ものがたり|読んだ本の紹介・レビュー【157冊目】【絵本】

5.0

草木とみた夢 牧野富太郎ものがたり|作品紹介

  • 文:谷本雄治(たにもとゆうじ)
  • 絵:大野八生(おおのやよい)
  • 出版社:出版ワークス
  • 対象年齢:3歳以上向け
  • 発売日:2019/2
  • ページ数:31P
  • 幼児向け読み聞かせ絵本
  • 学習向けの本
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草木とみた夢 牧野富太郎ものがたり|実際に読んだ感想とレビュー

植物に人生をかけた牧野富太郎の生涯

これは植物学者として知られる牧野富太郎さんの生涯を、子どもにもわかりやすいようにギュッと凝縮して描いた絵本です。

牧野富太郎さんといえば、NHK連続テレビ小説「らんまん」で知ったという人も多いのではないでしょうか。

達也くんも「らんまん」をきっかけに牧野富太郎という人物を知った一人ですが、改めてこういう絵本でその生涯を追ってみると、とんでもない人だったんだなぁと思います。

牧野富太郎さんは酒屋の息子として生まれましたが、幼いころから植物に興味を持ち、学校で学ぶことよりも自分で植物を調べることに夢中になっていきます。

体が弱かったこともあり、周囲からは理解されないこともあったようですが、それでも植物への興味がなくなることはありません。

東京へ出て顕微鏡を手に入れ、植物を細かく観察しながら研究を続けていく。今のようにスマホで植物の名前を検索すればすぐ答えが出てくる時代ではありません。

自分で野山を歩き、植物を見つけ、観察し、記録していく。それを何度も何度も繰り返していくわけです。やがてその努力が認められ、東京大学で植物の研究に携わるまでになります。

ところが、ここからがまたすごい。

自分が発見した植物について論文を発表しても、なかなか世界に認めてもらえない。普通なら「もういいや」と諦めてしまいそうなところですが、牧野富太郎さんは研究を続けます。

そして周囲の人たちにも支えられながら研究を続け、植物図鑑の制作にも関わるなど、少しずつその功績が知られるようになっていきます。

最終的には世界的な植物学者として認められ、65歳で理学博士の学位を取得。さらに第1回文化功労者にも選ばれ、94歳で亡くなるまで植物を追い続けました。

いやぁ。。。すごい。すごいとしか言いようがない。

一つのことにここまで人生を突っ込める人って、なかなかいないです。しかも牧野富太郎さんの場合、単純に「植物が好き」というだけではありません。

自分の目で植物を見て、自分の手で採集し、細かく観察して、記録して、研究する。とにかく自分自身で体験して積み重ねていったわけです。今はスマホやパソコンを使えば、植物の名前なんて写真を撮るだけで簡単に調べられます。生成AIでパッとイラストを創り出す。

便利になったもんですな。

でも、便利になったことで「知ったつもり」になってしまうことがあります。検索して出てきた情報を読めば、とりあえず答えはわかる。でも「じゃあ、なぜそうなるの?」と聞かれたら、意外と説明できなかったりする。

牧野富太郎さんは、そういう上っ面の知識とは違うんですよね。実際に植物を見て、触れて、観察して、長い時間をかけて研究している。

だからこそ、自分の中に積み重なっている知識の量がものすごい。まさに「植物オタク」とでも言いたくなるような人物です( *´艸`)

でも、こういう「好きすぎる」を極限まで突き詰めた人って、強い。周囲から何を言われようとも、自分が興味を持ったことをひたすら追い続ける。信念を曲げない。

もちろん、何でも好きなことだけをやればいいという話ではありません。ただ、子どもたちにはこういう生き方をした人がいたということを知っておいてほしいなと思います。

「これ、なんだろう?」

「もっと知りたい!」

「調べてみたい!」

そんな小さな興味から始まったものが、人生をかけて追い続けるものになるかもしれない。それって結構すごいことです。大人になると、ついつい「役に立つか」「お金になるか」「将来どうするか」なんてことを先に考えてしまいます。

子どもが何かに夢中になっていても、「そんなことより勉強しなさい」なんて言ってしまうこともある。でも、その「そんなこと」が、もしかするとその子にとって一生ものの興味になるのかもしれません。

牧野富太郎さんも、最初から「植物学者になろう!」と計画していたわけではなく、植物が好きで、もっと知りたくて、調べ続けていたら、いつの間にかものすごいところまで到達していた。そう考えると、子どもの「好き」を大切にするというのは、結構重要なのかもしれません。

この絵本は牧野富太郎さんの生涯をかなり簡略化して描いているので、詳しい人物伝というわけではありません。小さな子どもが牧野富太郎という人物を知る最初の一冊として読みやすい作品だと思います。

植物が好きな子はもちろん、「好きなことをとことん追いかけた人」の物語として読んでも面白い。

一つのことに心血を注ぐって、こういうことなのか。

そんなことを達也くんに感じさせてくれる絵本でした。

便利になった現代だからこそ、自分の目で見て、自分で調べて、自分で確かめる。そして「もっと知りたい」と思ったことを、とことん追いかけてみる。

牧野富太郎さんの生涯から、子どもだけではなく大人も学ぶところがあると思う作品です。

達也
達也

今の時代は「時間」「お金」「タイパ」重視。その背景には多大な苦労をした人がいてその上で成り立っている事を忘れてしまっている。

たーちゃん
たーちゃん

ぼくもなにかにむちゅうになれることにであえるかな?

達也の深読み!

実家は富裕な酒屋でしたが、研究費や全国での採集費用、高価な顕微鏡・文献の購入に際限なくお金を使い込み、実家を傾かせるほどでした。

上京後も困窮を極め、家賃滞納で何度も引っ越しを余儀なくされますが、彼の情熱と誠実さに惚れ込んだパトロン(実業家の池長孟など)が現れ、借金を肩代わりしてもらうことで研究を継続できました。「好き」を突き詰めた結果、人を巻き込む圧倒的な巻き込み力を持っていた人物です。

多大な借金や貧困の中でも文句ひとつ言わず、家計をやりくりして夫の研究を支え続けたのが妻の寿衛さんでした。

富太郎は妻の死後、新種として発見した笹に彼女の名前を取り「スエコザサと命名しました。学名に愛する妻の名を残すという、植物学者ならではの究極のロマンチックな感謝の形です。

草木とみた夢 牧野富太郎ものがたり」のような歴史上の偉大な人物の本って、小学生の夏休みの自由研究にいいんじゃないかと達也くんは思います。

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