あるヘラジカの物語|作品紹介
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あるヘラジカの物語|実際に読んだ感想とレビュー
死んだ命が次の命を支える、自然の厳しさと命の循環を描いた絵本
『あるヘラジカの物語』いや、これは深いわ。
自然の厳しさ、弱肉強食、そして一つの命が別の命へとつながっていく様子を描いた物語です。
物語では、二頭のオスのヘラジカが激しく争います。大きな角をぶつけ合い、まるで闘牛のような熾烈な戦いを繰り広げる二頭。お互いに一歩も譲りません。
自然界では強さが生き残るための重要な要素になることがあります。縄張りや群れをめぐる争いは人間から見れば「そこまで戦わなくても・・・」と思ってしまいますが、野生動物にとっては生き方そのものなのでしょう。
そして二頭の戦いは長期戦となり、やがて双方ともに力を使い果たしてしまいます。そこへ現れるのが、オオカミの群れ。弱ったヘラジカたちを見逃しません。
動けなくなった二頭を獲物として狙い、襲いかかります。自然界は厳しい。弱った瞬間がほかの生き物にとっては生きるためのチャンスになるわけです。
しかし、さらにそこへヒグマが現れます。今度はヒグマがヘラジカを食べ始め、何日もかけてその命を自分の栄養にしていきます。そして満足したヒグマは、冬眠するために巣へと戻っていく。
そこで終わりではありません。ヒグマが去るのを待っていたオオカミたちが、残されたものを食べます。さらに、ほかの生き物たちもやってきます。
さまざまな動物たちがそれぞれ生きるための食糧としてヘラジカの命を受け取っていく。そして最後には骨が残る。しかし、その骨さえも無駄にはならない。
自然の中で利用され、ほかの生き物の暮らしや命につながっていく。二頭のヘラジカは死んでしまった。でも、その命はそこで完全に終わったわけではない。
ヒグマの命を支え、オオカミの命を支え、さらに多くの生き物たちの糧となっていく。一つの命が失われることでいくつもの命が生きていく。
この絵本が描いているのは、単純な「かわいそう」という話ではないのでしょう。自然界では生き物がほかの生き物を食べることによって命をつないでいます。
そこに人間のような善悪の判断があるわけではありません。食べなければ生きていけない。そして自分自身もいつか別の命につながっていく。そうした自然の循環が描かれています。達也くんの子どもたちが真剣に聞いていた絵本です。
子ども向けの絵本では動物たちが仲良く暮らす優しい物語もたくさんあります。もちろん、そういう作品も良い。でも、現実の自然はそれだけではなく生きるために戦い、食べ、食べられる。
『あるヘラジカの物語』は自然界の厳しさを描きながら「命はほかの命につながっている」ということを感じさせてくれる作品です。
命をいただくとはどういうことなのか。子どもだけでなく大人も考えさせられる深い絵本でした。
これはなかなか勉強になりますな。

食物連鎖の法則。自然って凄いなと思います

どうぶつさんになったらたべられちゃうんだね
達也の深読み!
この絵本は、1996年にアラスカで急逝した伝説の写真家・星野道夫さんが残した「一枚の写真」と「わずかな文章」がきっかけで生まれたそうです。星野道夫さんという方はヒグマ襲撃事件で命を落とされたのだとか。しかし、生前残していた写真により奥様から相談を受けて作品として実現したのだとか。凄いエピソードだわ。





